Japanese Research Overview

ボラティリティは
「どのように動くのか」

VPI(Volatility Pressure Index)とAegisは、ボラティリティの水準ではなく、 その変化と構造的な歪みに注目する動的リスク管理フレームワークである。

Volatility Dynamics / Tail Risk / VPI-based Risk Management

なぜ「ボラティリティの水準」だけでは不十分なのか

金融市場では、VIXのようなボラティリティ指標がリスクの代表的な尺度として使われます。 しかし、実務上より重要なのは、ボラティリティが単に高いか低いかではなく、 それがどの方向へ変化し、どの程度の圧力を伴っているかです。

市場の下落局面では、ボラティリティは単なる数値ではなく、 投資家のリスク許容量、流動性、ポジション調整、テールリスクの蓄積を反映します。 したがって、ボラティリティの「変化」そのものを状態変数として捉える必要があります。

QFLKの研究では、ボラティリティを静的な水準ではなく、 市場状態が時間とともに変化する動的なプロセスとして扱います。

VPIとは何か

VPI(Volatility Pressure Index)は、ボラティリティの変化に含まれる方向性と圧力を捉える指標です。 直感的には、市場のリスク状態が安定方向に向かっているのか、 それとも不安定方向に向かっているのかを測るための指標です。

Core idea

VPIは、ボラティリティの「大きさ」ではなく、 ボラティリティがどのように変化しているかに注目します。

この考え方により、単にボラティリティの水準(高い・低い)という判断ではなく、 市場内部でストレスが蓄積しているのか、あるいはリスクが沈静化しているのかを より構造的に見ることができます。

背後にある考え方:Fokker–Planck型の市場モデル

QFLKでは、ボラティリティの変化を確率過程として捉え、 Fokker–Planck型の枠組みで市場状態の時間発展を分析しています。 この枠組みでは、市場は平均的な状態へ戻ろうとする力と、 状態が極端になるほど不安定化する性質を同時に持ちます。

  • 通常時:市場は平均的な状態へ回帰しやすい
  • ストレス局面:状態依存的に不安定性が増幅しやすい
  • 危機局面:テールリスクが顕在化し、リスク制御が重要になる

本ページでは直感的な説明に留めています。数理的な定式化と推定結果については、現在SSRN Working Paperとして公開予定です。

Aegis:VPIに基づく動的リスク制御

Aegisは、VPIに基づいて市場のリスク状態を判定し、 エクスポージャーを動的に調整するリスク制御フレームワークです。 目的は、市場を予測することではなく、状態に応じてリスク量を調整することにあります。

たとえば、市場ストレスが高まる局面では株式エクスポージャーを縮小し、 リスクが沈静化する局面ではエクスポージャーを回復させます。 これにより、ドローダウンの抑制とリスク調整後リターンの改善を目指します。

Aegisは「当てにいくモデル」ではなく、 市場の状態に応じて守りと攻めを切り替えるためのリスク管理モデルです。

マクロ応用:資産配分への展開

VPIやVIX Gapは、株式市場だけでなく、より広い資産配分にも応用できます。 市場が過度にリスクを織り込んでいるのか、逆にリスクを過小評価しているのかを判定することで、 株式・債券・金・現金などの配分を動的に調整することが可能になります。

この意味で、Aegisは株式エクスポージャーのリスク制御、 VIX Gapは資産配分全体のリスク制御へと拡張できる可能性があります。

詳細な理論と実証分析

本研究の詳細な数理的定式化、実証分析、Aegisのパフォーマンス評価については、 以下のWorking Paperを参照してください。

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